『天国の日々』(1978) 自然主義撮影の極地

ニューシネマ

基本情報

製作国アメリカ(パラマウント)
公開年1978年
監督テレンス・マリック
撮影ネストール・アルメンドロス
出演リチャード・ギア
ブルック・アダムズ
サム・シェパード

概要

『シン・レッド・ライン』(ベルリン国際映画祭金熊賞)、『ツリーオブライフ』(カンヌ映画祭パルムドール受賞)など、寡作ではあるが完璧主義で徹底的にこだわるテレンス・マリック監督作品。

撮影にはトリュフォーやロメールなど、仏ヌーベルバーグとタッグを組んでいたフランス人カメラマン、ネストール・アルメンドロスが担当。(著書に『キャメラをもった男』)

自然主義的な撮影、リアリズム撮影などと呼ばれ、映画用の照明などの現実には存在しない補助照明器具は一切用いず、天然自然の明かりやろうそくなど家庭用の間接照明だけで撮影されており、4Kレストア版でのリバイバル上映など、映像の美しさに大変定評がある作品。

あらすじ(ネタバレ)

20世紀初頭(西部時代の終焉から世界大戦までの間)のアメリカが舞台。

貧しいアイルランド系の移民であるビル(リチャード・ギア)は、産業革命後の不況の最中にあって、学がなく喧嘩っ早いため、都会のシカゴで肉体労働に励むも、どこでもすぐにクビになり、内縁の妻であるアビー(ブルック・アダムス)、ビルの妹リンダ(リンダ・マンズ)を食わせるために職を転々とする。アビーのことはその方が色々楽だという理由で妹であると周りには説明していた。

その後、期間労働者としてテキサスの大農園に集団労働に参加し小麦の収穫に参加する。その折、農園主のお金持ちチャック(サム・シェパード)はアビーに一目惚れし、期間労働のあとも農場に残らないかと彼女を口説く。

アビーは最初歯牙にもかけないが、チャックの余命が短いこと、チャックはビルの妹だと思い込んでいることなどから、ビルは結婚を受けること(結婚詐欺)を提案する。このようなチャンスは2度とないし、自分のような人間には2人を裕福に生活させることなど無理だからと考える。

そして詐欺的な結婚生活が過ぎるが、徐々にチャックはビルがアビーの実の兄ではないのではないか、二人の関係はどこか親密すぎることに気がついていく。またアビーの方も最初は詐欺だったものの、本当にチャックのことを愛し始めていた。チャックはビルを追い出す。

そしてチャックとアビーの平和な日々(天国の日々)はわずかな期間続くが、また違う収穫の時期。期間労働者の中にまたビルが紛れ込んで会いにくる。

そんな折、テキサスには巨大な蝗害(イナゴの大群)が発生。チャックの農場はあっという間にイナゴに襲われ、追い払うための火によって地獄絵図となり一瞬にしてチャックは大金持ちから破産。

その状況に錯乱したチャックはビルを殺そうとするが、返り討ちにあいビルのドライバーが胸に刺さり命を落としてしまう。チャックはとうとう殺人犯として追われる身となり、警察から銃殺されてしまう。

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